World Economic Forumでの菅総理の演説

菅総理のダボス会議での演説を見ました。良い演説だと思いました。

  • 政治の役割や日本の将来について、明確なビジョンを示していること(最小不幸社会、絆)
  • そのビジョンが、自らの政治家としての成り立ちとつながっていること(社会運動家→最小不幸社会のコンセプト)
  • 堂々としゃべっていたこと(一国のリーダーの雰囲気があった)
  • 質疑応答で笑顔を見せながら話していたこと(良い人柄が出ていたと思う。ひいては日本のイメージにとって良いことだと思う。英単語を交えながらの回答も、質問に適切に答えながら、かつユーモアを感じられて良かった。)


いろいろ良いところがあって、誇れる日本のリーダーだなと思いました。


演説後に主催者との質疑応答で、

「エジプトが現在不安定な状況になっているのは、不幸な人たちに対してきちんと目を向けられていないことに発するのではないか」


「幸せは各個人で定義するものであり、政治が定めるものではない」


などのコメントには同意しますし、これらを聞いて改めて「最小不幸社会」というコンセプト、良いコンセプトだなと思いました。


じゃあ、最小不幸社会ってなんだろうと思ったときに、たとえば世代間格差とか、貧富差とか、性別差とか、いろんな軸で見ながら考えることができると思うのですが、そのなかで、“時間軸”も同様に重要だよね、とまだ若い世代としては思うんです。


たとえば、社会を見るときに「年齢」と「収入」という2つの軸で見たとするならば(つまり説明上、ある2つのファクターを選んで2次元分布で現在の社会を見るならば)、そこには「時間」という軸も考慮して、3次元であってほしいと思うわけです。もちろん、そんなことは当然だと言われるのだと思いますが。。。


イメージとしては、下の図のような感じで。

この立方体の中で、政治のサポートを受けられない人たちを出さない、とそういう発想だと理解します。


ここで、「政策」と言うものは、将来を見据えながらも、あくまで今の社会に対してインパクトを持つものなので(例えば教育にかける予算は、将来の日本の競争力を高めることが目標であっても、その予算で教育を受けるのは今の子供である、と言う点で今にインパクトを持つ。)、時間軸と共に構成される2次元については(上の図で言うところの青で示す平面と赤で示す平面)、あくまで参照データと言うことになります。


まずは青で示す時間と年齢の平面

これは、右上のほうに進んでいくわけで、特にこの図から考えることは無いでしょう。


そして、時間と収入の平面。

これは、矢印で示す方向にあがっていきたい、とたいていの人は望むのではないかと思います。ただし、これは各個人の努力によって達成される目標、いわば「各個人が定義する幸せ」と考えられる領域ではないかと思います*1


「政策」がインパクトを及ぼすのは、緑で示す年齢と収入の二次元の現在時刻での切り口になります。

ぼんやりとした知識でしかありませんが、今の政策とは図に示すようなものだと思います。じゃあ、今何をするのが将来の同平面状においても、皆をカバーできるような政策なのか。おそらく、すべての時間ですべての領域がカバーされるのは不可能と考えられるときに、今と将来をどういう風に比較して決定するのか、そういうところを考えるプロセスを見たいと思うし、それがあれば(個人的には)例えば他世代や他の収入レベルの人等に比べて、公共サービスが受けられないような状況であっても受け入れると思います。年金制度を考えるとき、税金制度を考えるとき、このような視点でわたしは議論されていることを見ようと思います。


菅総理の演説を聴いて思ったのは、やはり政治家の方は各個人に信条があってがんばっているのだから、国民の側としてはそれを理解して、そしてかつ自分なりの信条を持って政治を見守っていくべきだということ。そういう風に考える時間をくれた、と言う意味でも、やはり良い演説だったと思います。


下のリンクで見られるので、興味があればぜひ。

*1:国としての競争力が結果として人々の収入を時間と共に上げていく、だからこの平面を見ながら政策を考える必要がある、と言うのも正論だと思います。ただ、簡単にするために「生活維持レベル以上の収入Up→幸せの追求」と考えます。