経験の無さを補う勉強とは

先週と今週は、仕事が複数舞い込んでオフィスにいる時間が長かったが、それも今週の後半に落ち着いて、金曜日には少し落ち着いて仕事ができるようになった。


今は日本に「駐在」と言う形でいるから、その間にいろいろなことを吸収したい。だから、こういうゆっくり仕事ができるときには、一つ一つの疑問や引っ掛かりを時間をかけて調べながら仕事を進めていくようにしている。(一方時間がないときには、80%程度の完成率でも良いからガシガシ進めることを考えている。)


昨日も寄り道しながら仕事を進めていたのだが、そこで読んだ先達のレポートのレベルの高さにあらためて感心させられた。あらためて、と言うのはこれが初めてではないから、と言う意味で。その網羅する知識が多岐にわたること、考察の深さと的確さ、その考察に支えられる生産性の高い計画立案とまとめ。(つまり「イシュー」が確実に見えていて、解も想定した上で解析、実験を行っているから、論理が明確でありかつ無駄がなく納得のアウトプットが示されている。)


ぼくが携わっている蒸気タービンの設計、運用業務には、他の製造業と同様に、幅広い工学の知識が要求される。流体力学、熱力学、材料力学、電気工学、金属材料、その他諸々。さらにその上に業界特異な知識も要求される。それは、いわゆるノウハウと呼ばれるもの。もちろん、根幹には技術者としての基本的なセンスが必須。


これらは、一朝一夕で身につくものではない。おそらくそれ故に、経験がものを言う業界、と言われているのだろう。実際、アメリカの火力発電メンテナンスサービス会社のコピーには、


「わが社のエンジニアの経験は合計で200年以上!」(つまり業界に20年以上従事しているエンジニアを10人以上抱えている、もしくは40年以上を5人以上抱えている、とかそういうこと。)


なんて書かれている。つまり、経験が財産になると言うことがこの業界では広く信じられている。この辺は、必要な知識が多岐にわたるため、とも言えるし、業界の進化する速度が例えばIT業界などと比べて格段に遅いため、持っている知識が長く通用するから、とも言えると思う。


とにかく、経験がものを言う業界である。ぼくが読んだレポートだって、僕が生まれる前から設計者だった人が、つい2年前に書いたレポートである。つまり30年程度の経験がそこには詰まっている。それこそ「経験」と言う意味で言えば3年程度のぼくなんか足元にも及ばない。(ただし、経験があればそれで良いのか、というのはもちろん駄目。このレポートを書かれた方は、技術者としての能力が抜群に高い。そこに経験が乗っかっているから、うなってしまうような仕事ができている。)


じゃあ自分の場合はどうか。僕の場合は、30年も経験を待っていられるとは思えない。そもそも、30年も設計をやっているとは思えない。なんたって飽きっぽいから。おそらく新しいことにチャレンジしたくなっていると思う。けれども一方で、やるからにはできるだけ高いアウトプットを出していきたい。じゃあ、短い時間でキャッチアップするしかない。さて、どうしようか。


ふと思ったアイディアは、おそらく何ヶ月間かずつに区切って一つのことを集中して勉強する、それを続けていくのが一番いいのではないか。例えば、ある3ヶ月は流体力学、ある3ヶ月は材料力学、ある3ヶ月は熱力学、と言う風に。


と、ここまで書いて思い出した。そういえば、ドラッカーの勉強する姿勢はそのようなものであったと、何かの本に書いてあった気がする。日本の歴史やら、美術史やらを勉強するときには3ヶ月単位でやっていたとか何とか書いてあった気がする。今、少し検索してみたら、やはりそう書いてあるようだ。つまり、上で書いたのは「アイディア」では無くて「思い出した」だけだった。。。


思えばぼくの場合は、情報に触れた瞬間には気づけないことのほうが圧倒的に多い。今回のように後で振り返って、その言葉に「追いつける」のである。まあ、学習するとはそういう過程のことを言うのかもしれないが。


話がずれたが、キャッチアップするための方法である。何ヶ月かずつで勉強していく、それで良いのではないか。スケジュールを立ててみる必要があるかと思う。