「ピーターの法則」は刺激的な本
- 作者: L.J.ピーター,R.ハル,田中融二
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1970/01
- メディア: 単行本
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この本を手に取ったきっかけは、内藤忍さんという方が書かれたブログの記事を読んだこと。
この本、自分が何となく考えていることの答えになりそうな気がしている。
【日々もやもやと考えていること】
- 組織の活動は、優秀な一部の実働部隊(つまり指示を出す側の人間ではなくて、実際に手を動かす人々)によって支えられている部分が大きい。
- 「優秀な実働部隊」が「優秀な管理職」ではない。
- 「優秀な実働部隊」が出世することによって組織が受ける恩恵よりも、損失のほうが大きいのではないか?
- とは言え、組織の中には管理職が必要であり、マネジメントが必要である。
- 学歴によって差をつける、とか、入社時に幹部候補を選定する、と言う考えは実は至極効率的なのではないか。なぜなら、優秀な幹部になりうる人にはそれ相応のキャリアを進ませる必要があるから。
- 自分はマネジメントの能力を持っているのか?それは備わっているものなのか、それとも磨いていくものなのか?(もちろん、100%どちらか、という解なんて無いことは知っている。)
- 企業においては、高い地位にいるものほど、高い責任を持ち、ゆえに高い報酬を得る。これは優秀な実働部隊を生かせない制度ではないか?
まとまっていないけれど、こういうような疑問に対する答えのヒントになると思っていて、読み終わってからも考えている。
ぼくはこの本が明らかにしている社会の法則には納得するけれども、「創造的無能」のすすめには賛成できない。なぜなら、働くことはリターンを得ることを求めるものであり、より高いリターンを求めることが自然だと思うから。つまり、給料は高ければ高いほど良い、と思っている。
(ある程度の地位まで言った人が、「結局お金じゃないんだよね」なんて言っているのを見たり聞いたりするけれど、ぼくはそこまで達していないのでそういう達観したことは言えない。養う家族がいるし、地位やお金に対する欲求がある。)
ただし、一方で無能の地位まで達することに対する恐れがある。ドラッカーの本が良く売れることから考えると、これはごくごく一般的な感情だろうと思う。ただ、ドラッカーの本の発行部数と優秀な管理職の数は比例関係にないのではないか。つまり、「学ぶ」ということは万人が出来ることではない。
また、自分が企業内のルールを変えるほどの影響力を持つにいたるとは、なかなか創造しづらい。すなわち、組織の形成と報酬体系を見直すような立場になることはたやすくは無い。また、その位置に達した自分は「無能」である可能性も十分にある。
お金は欲しい、ただし企業に貢献できる立場にいたい、起業に対する憧れもない、そういう立場である。ぼくは、幸運にも自分の働く組織の中で、何人かロールモデルになってくれそうな人を見つけた。今はそれらの人から学ぼうとしている。
ともあれ、一読をお勧めする本である。