風力発電のニュースを読んで

Googleニュースにカスタマイズセクションをキーワード「発電」で追加してあるのですが、太陽光、風力と原子力発電に関するニュースが大部分を占めています。火力発電に関わる身としては、ちょっと意図していたのとは違うのですが、まあ、それはそれだと思ってチェックしています。


再生可能エネルギーで注目を浴びる太陽光と風力ですが、どうやらこの二つに関するニュースは傾向が異なる気がします。


[太陽光発電]

愛知県、太陽光発電施設を導入する住宅への補助金を拡充

名古屋環状2号線・高針―名古屋南間に太陽光発電設備を設置


[風力発電]

水俣市、風力発電所を断念 (低周波音に対する不安などによる反対)

神戸市、風力発電所を断念 (採算が合わず)

淡路市、建設中止を申請 (騒音への不安)


一方、Googleニュースにはセクション「Energy」も追加してあるのですが、こちらにも風力発電に関するニュースが良く出てきます。ただ、こちらのニュースは少し風潮が違います。


U.S. says wind could power 20% of eastern grid

Maine Governor will introduce offshore wind legislation


私は、何冊か電力に関係するフリーマガジンを購読していますが、それらにも風力発電に対する期待やビジネスチャンスについて、毎号のように触れられています。感覚としても、アメリカではRenewable Energyと言うと、まず風力発電が挙げられる、というような気がします。


この違いは、両国の政府の方針の違いによるものも大きいのだと思います。アメリカは、2030年までに電力消費の20%を風力発電で供給することを目標に掲げて政府が支援を進めていますが、一方日本の政府は太陽光発電の電力買取り、といった政策を進めている、と聞いています。


日本政府が採る政策の狙いの一つには、太陽光発電を支援することで太陽光発電のメーカーを育てること、があるのではないかと思います。実際に、太陽光発電事業に参入する企業も増えているのだろうと思います。


ただ、私は日本のメーカーにとって、風力発電も大きなビジネスチャンスなのではないかと思うのです。その理由はアメリカと日本の電力消費量の違いにあります。日本の電力消費量が2008年でおよそ103万GWhだったのに対し、アメリカの消費量はおよそ419万GWhで、両国の差は約4倍でした。もし、両国の電力消費量の伸び率が今後も同じだと仮定すると、2030年にはアメリカは日本の電力消費量とほぼ同じ電力を風力発電で供給していることになります。


現状のアメリカにおける風力発電設備のシェアを見ると、三菱重工が六位に入っていますが、それ以外には日本のメーカーは出てきていません。




(1.24.2010) 2008年のデータも見つけたので追加しました。


風力発電と太陽光発電の技術は全く異なるものですが、風力発電は、火力発電、原子力発電や水力発電とは原理的に似ていることから、共通する点も多々あるのではないかと思います。火力、原子力、水力の分野で高い技術力を誇る日本メーカーが、風力発電にも参入するのは良い選択ではないかと思ってしまうのです。


ただ、これは日本の重電メーカーが今までに経験したことの無いビジネスモデルになるのではないかと思います。これに関して、また日を改めて書こうと思います。